授業が変わる、授業を変える
2025.06.11
学校長の部屋
今、多くの学校で授業が変化しています。簡単に言えば「生徒が主役になる授業」を目指して、様々な模索が続いています。自修館でも、新しい試みにいち早く対応する先生が必ず現れます。気づくと、そうした研修に参加していたり、もう授業に取り入れていたりします。校舎をぐるぐる回って授業を見ていると、変わった取り組みが必ず目に留まります。
この授業は、5年生の「倫理的な見方・考え方」の授業です。
まずは、古代ギリシャの哲学者ソクラテスや、中国の思想家たちの考え方を身近なシチュエーションを通して学びます。次に、ある問いに対してAIに思想家になりきって回答してもらい、生徒は自分の考えがどの思想家に近いかを考え、それぞれの思想家と対話を深めていきます。思想家との対話で自分の考えがどう変容したかを振り返ります。どこまで思想家になり切ってくれるのかは未知数ですが、AIがなければできなかった授業です。

次の授業は4年生の[保健×生物基礎×探究(看護医療)]の教科横断型授業で、生物基礎と保健の授業担当者が協働で行いました。テーマは「AYA世代(15~39歳)がん患者とその家族の気持ち」です。
1コマ目は、両科目の復習に加え、生徒の探究内容である「終末期医療」について学びました。がん患者の悩み、親の悩み、兄弟姉妹の悩みを考える中で、徐々に自分事となっていく生徒たち。「身近にがん患者がいたらどう思いますか?」という問いで、明らかに生徒の雰囲気が変わりました。自分が大切にしたい人やものを挙げて次回につなげます。
2コマ目では、自分ががん患者である主人公になり、がんの告知・入院・治療・再発・手術などの場面で大切なものを失っていく物語を疑似体験します。がん患者が直面する喪失感を体験し、終末患者や家族の心を知り、患者に寄り添うことの大変さ、そして大切なものを再認識することが目的です。大切なものを書いたカードを場面ごとにしまっていくたび、物語に深く入り込んでいく様子がうかがえました。
死と向き合い、命と向き合うことができたこの授業は、ただ知識を学ぶだけでなく、自分の価値観を再確認し、他者への深い理解と共感を生徒たちに育む貴重な機会となりました。


また、今年立ち上がった「学び改革委員会」が、「主体的に学習する態度」の指導と評価を主題とした教科内公開授業を行っています。
数学では、ロイロノートに毎回まとめ続けた1学期の学習内容をすべて自分で1枚の用紙にまとめ直す取り組みを行いました。授業への取り組みや放課後や家庭での学習についても振り返り、課題を見つけて新たな1週間のルーティンを2学期に向けて策定します。
英語では、個人・ビジネス・国家間のジレンマについて文章を読み、構造を理解した上でif構文や比較表現を学び、自分や他者の選択を論理的に考察し、協調と信頼の重要性を理解します。英語を題材にしながらも、非認知能力を高める内容が盛り込まれています。


本校の先生方も、世間で言われているように、授業以外の様々な指導や業務に携わり、忙しく過ごされています。その中でも、生徒の成長に繋がる授業を作ることの大切さを理解し、取り組み続けています。先生方の熱い思いと、その思いに応える生徒たちが、自修館の授業を進化させていくのだと思います。